コロナ禍で新しいオフィスの在り方を追求した空間デザイン

今回は、ANAやキリンなどの一流企業をはじめこれまで累計4,000サイト以上をデザインしてきたWEB制作会社「株式会社メタフェイズ様」の新しいオフィスを見学させて頂きました。コロナを機に、新宿にあった88坪のオフィスから青山の50坪のオフィスへと移転し内装も一新されました。

同社のオフィスを見学させていただくのは2回目なのですが、今回も以前のオフィスの「ビオトープ空間※」というコンセプトはそのままに、オフィスっぽさを限りなく削ぎ落した本物のカフェの様な空間へと進化していました。(※ビオトープ空間: あらゆる生物が自然な状態で生息している空間のこと)

また社員の働き方も、コロナ以前から進めていた厚生労働省の働き方改革を積極的に導入するとともに、業務は完全テレワークとし、オフィスは仕事場ではなく人が集まり新しいクリエイティブを生み出す場所として設計されています。

去年6月に移転を決意して、構想から設計・施工まで約8ヶ月かけて完成させたという新オフィスは、実際どのようなテーマや意図を持って作られていったのか?代表の城野様にお話をお伺いしました。

目次

「仕事場」ではなく、「交流・成長・創造」の場へ

コロナ禍で新しいオフィスの在り方を追求した空間デザイン

-今回、オフィスを移転・改装しようと思ったきっかけは何ですか︖
きっかけはやはり新型コロナウイルスですね。前のオフィスも気に入っていましたが、テレワークが主流となっていたことで以前のようには使われておらずもったいない状態でした。そこでもっとコンパクトな場所へ移転すると同時に、これを機にオフィスの在り方から見直そうということになったのです。

-新しいオフィスのコンセプトはどのように考えられたのですか?
まず、“オフィスが仕事をする場所でないとしたら、集まって何をする空間にしようか…?”といったところから考えました。そこで導き出されたのが、「コミュニケーションを深める空間」「社員が成長できる空間」「クリエイティブな発想が生まれる空間」という答えでした。仕事は家で十分できるので、オフィスは業務ではなく新しいものを生み出す場所にしたいという考えをベースに作っていきました。

コロナ以前からリモートワークを導入

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ー同社はコロナ以前からリモートワークを導入していたそうです。全社員にノートPCを配布したり、地方勤務制度を取り入れたりと、遠隔業務のための仕組みは整っていたそうです。

新しいオフィスは、バーカウンターを中心にBOX席やソファ席、オープンテーブルなど、用途に合わせて場所が選べるABWスタイルになっており、オフィスというよりカフェ&バーのような空間です。業務用のPCモニターは常設されておらず、必要に応じて収納棚から取り出す仕組みで、固定電話もありません。

大切にしたい企業カルチャーを反映したオフィスデザイン

コロナ禍で新しいオフィスの在り方を追求した空間デザイン

-オフィスデザインについては、どのようなイメージで作られたのですか?
テーマは「ortholog café」、この場所の名前でもあります。Orthologとは、生物用語で共通祖先を持つ異種間の相同遺伝子関係のことです。分かりやすくいうと、違う種を持つ生物であっても、実は共通祖先から受け継がれた同じ遺伝子を持っているということを意味しています。

メタフェイズの社員が共通の理念やDNAを持ちつつ、それぞれの進化を遂げて影響を受け合いながら、新しいクリエイティブを生み出していく場所にしたいという思いを込めました。この考え方は、メタフェイズの企業理念にも紐づいています。

「ビオトープ」という一貫したコンセプトに基づいてデザイン

コロナ禍で新しいオフィスの在り方を追求した空間デザイン

ー同社のオフィスは、創業当時から様々な生き物の進化や、生命の神秘を想起させるような企業ブランディングに基づいてデザインされています。

そのため今回のオフィスも、あらゆる生物が自然な状態で生息している空間『ビオトープ』をコンセプトに、本物の生木を使った社内緑化や、アクアリウムなどの生き物が存在する空間を目指されています。
また、その中で働く社員も生物の一部であり、刺激し合いながら進化することをイメージしてデザインされているそうです。
※以前のオフィスはこちらでご紹介しています。

突き抜けたデザインが専門の会社に、オフィスデザインを依頼

コロナ禍で新しいオフィスの在り方を追求した空間デザイン

ーオフィスのレイアウトや内装については、どのように作られたのですか?
レイアウトや内装については、空間デザイナーの兼城祐作さんが率いる造形集団株式会社にお願いしました。こちらの会社は、個性的で突き抜けたデザインを追求する設計集団なのですが、今回は細部に至るまで妥協せずにコンセプトを具現化したかったというのと、兼城祐作さんの空間デザインをインターネットで見つけて強烈な衝撃を受けたということもあり、ダメ元でお願いしてみたところ幸運にも快く引き受けて頂けました。

造形集団さんにはこちらの希望や意図を全て汲んでいただいた上に、私たちが想像もつかないようなアイディアを盛り込んでデザインして頂き、とても満足しています。
弊社からはかなり細かい部分までこだわって要望を出しているので、本来であれば倍ぐらいの設計・施工コストがかかるところなのですが、廃材を利用するなどして予算も抑えて頂き有り難かったです。

家具はもちろんのこと、壁や天井のしつらえにもこだわってデザインされています。上記の写真に写っている壁画は、壁や天井の造形に直接アーティストさんに手描きしてもらい、生き物が暮らすオリエンタルな空間に仕上げてもらっています。

“どうすれば社員が来てくれるようになるか?”を徹底的に考えたオフィス

コロナ禍で新しいオフィスの在り方を追求した空間デザイン

―今回のオフィスにおいて特にこだわった点などがありましたら教えてください。
まず、“どうすれば社員がここに来てくれるようになるか?”という点は徹底的に考えました。
仕事をすることだけを考えると家に居る方が捗るので、社員がわざわざここに足を運びたくなるメリットや動機付けが必要だと感じました。 その一つが、バーカウンターです。

バーで提供しているドリンクやフードはすべて無料で提供しており、オフィス内ではいつでも自由に飲み食いすることができます。置いてあるお酒も普段家では飲まないようなワンランク上のものをセレクトして、ただのフリードリンクではない特別感を保たせるようにしています。

インプット環境としてのオフィス

コロナ禍で新しいオフィスの在り方を追求した空間デザイン

収納式のプロジェクタースクリーンの設置も工夫の一つです。
この場所は社内会議だけでなく、研修やセミナー、ワークショップ、座談会、写真撮影など、社員のためになる内容であれば外部の企業にも積極的に使ってもらおうと考えています。

社員はそれらのイベントにオンラインでなくこの場所でリアルに参加できる…そういったメリットを享受してもらえればと考えています。

「企業ブランディング」を意識してデザインすることが大切

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そして最も大事にしたのは、企業ブランディングです。社員に会社への帰属意識を高めてもらうためには、オフィスも企業ブランディングを意識してデザインすることがとても大切だと考えています。

最初にお話したortholog caféというオフィスの名称から、全体のレイアウト、壁・床の素材、家具、水槽、観葉植物、オブジェ、プロジェクターのスクリーンのデザインまで、すべて意味を持って選んでいます。なんとなく選んだものは一つもありません。

ortholog caféのコンセプトを記したショップカード、バーのメニューやコースター、おしぼり、紙ナプキンなどといった備品も、すべてオリジナルでデザインしたものを特注しています。
今回のオフィスデザインにおいて、妥協は一切していません。クリエイティブな仕事を行っている以上、少しでも妥協したら、それは弊社がお客様に提供する作品にもマイナスに影響すると考えているからです。

社員からも高評価! 恋人や家族を連れてくる社員も。

コロナ禍で新しいオフィスの在り方を追求した空間デザイン

―新しいオフィスに対して、社員の方々からの評判はどうですか?
オフィスに来たくなると言ってくれていますね。また社員は恋人や家族をいつでもオフィスに連れ来て、カウンターやソファ席でゆっくり過ごすことができるようになっています。
実際に恋人を連れて来る社員もいたり、用事がなくてもふらっと立ち寄って、バーでお酒を飲んで酔っ払って帰る社員もいたりします(笑)。

弊社ではほぼ全社員が裁量労働制で勤務しており、出社のペースも週に一度のチームミーティングの日のみで、それ以外は自由出社となっています。現在は緊急事態宣言中ということもあり、出社はできるだけ自粛してもらっているため、1日に数名の出勤があるのみとなっています。(全社員数:45名)

ただ、出社している社員はまだ、黙々と作業していることが多いですね。しょうがないことではあると思うのですが、当初の狙いであった「オフィスはコミュニケーションや新しい何かを生み出す場所」という使われ方を推進していくためにはまだ改善の余地があります。もう少し環境作りに工夫が必要だと感じています。

リモートワーク下での生産性の変化

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―完全リモートワークとなってパフォーマンスに影響はありませんか?
ちょっとした手間はかかっていると思います。例えば、何か伝達したいことがあった場合、これまでは社内で声をかけるだけでよかったのですが、今はslackを立ち上げてチャットを打つという作業が必要ですので。ただ、全体の生産性は変わっていないと思います。

―その他に、新しいオフィスになって変わったことはありますか?
採用に良い影響がありました。人材採用サイトに登録しているのですが、新しいオフィスの写真に変えてから明らかに応募数が増えました。最終のオファー面接は応募者が希望すれば新しいオフィスで行うこともありますが、この空間を気に入ってくれる方が多いですね。

―最後に、今後のオフィス環境や社員の皆様の働き方の展望をお聞かせください。
コミュニケーション・社員の成長・創造の場といった今のオフィスのコンセプトは、今後コロナが収束しても変えることはないと思います。会社が大きくなっても、広いオフィスに移転するというよりは、ここを起点に同じコンセプトのサテライトオフィス&カフェを増やしていけたらいいなあと、今は考えています。

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